自然に囲まれた時、何か特別な癒しを感じることはありませんか?そんな自然に触れると起こる好反応について、医学的な見解を入れながら解説します。

これだけ覚えよう!メンタルに関わる3つのホルモンの話

メンタルに関わるホルモンは大きく分けて3つあります。それは「オキシトシン」「セロトニン」「ドーパミン」です。まずはこの3つのホルモンの働きを解説します。このメカニズムを理解することで、自然の中に行った時にどうして癒やされるのかが、理解しやすくなります。

人間をうつから救ってくれる?セロトニン

まず一つ目のホルモンは、「セロトニン」です。セロトニンは「気分をコントロールする」ためのホルモンです。日向ぼっこをすると太陽がないと生成されないビタミンDが生成されます。このビタミンDは骨が正常に入れ替わっていくのに非常に重要な栄養素です。

実は完璧すぎる日焼け止めの使用は控えるのがおすすめです。なぜならビタミンDの生成を阻害する可能性があるからです。手の甲だけはあえて塗らないなど、意識してみると良いでしょう。自然の中では太陽の光をいっぱい浴びれば、セロトニンがたくさん分泌されること間違いなしです。

日を浴びてセロトニンが沢山生成されると、精神面はもちろん健康面でも消化や体温調整など体を整える働きも補うことができます。自然の中にいることで、心も体もリフレッシュできるのです。日向ぼっこをするとほっこりした気分になるのは、セロトニンが関係しているのです。セロトニンはストレスを感じた時に、うつにならないように心と体のバランスを整えてくれます。

幸せを感じるホルモン、オキシトシンとは?

2つ目のホルモンは「幸せ」を感じるオキシトシンです。心身の健康によりセロトニンがしっかり分泌されていることで、つながりや愛を感じた時にオキシトシンが分泌されます。オキシトシンは「幸せ」はもちろん、「安心・安全」を感じたときにも放出されやすいホルモンです。

人類は自然の中に太古から住み、何代もの先祖がそうして過ごしてきました。ですから、自然の中では「安心・安全」を感じやすいようにできているのです。そのため自然の中に来ただけでオキシトシンがしっかり働くのです。

 

達成感はあるけど少し注意した方がいいドーパミン

3つ目は「ドーパミン」です。ドーパミンはオキシトシン・セロトニンがしっかり分泌されていると出てきます。これは、少し中毒性の高いホルモンで、山を登り切った後の「やったー!!」という達成感に関係しています。普段の仕事でも「やり切った!」という時には分泌されます。

自然の中でドーパミンが出る分には、全く問題がありません。しかし、これがギャンブルなどの嗜好品で起きてしまうと、「依存症」の原因になってしまいます。登山家の人たちが山を登ることをやめられないのも、ひょっとするとこのドーパミンが理由かもしれません。

ですから、ドーパミンとのお付き合いはほどほどに。100%の力を出し切ることなく、リラックスした状態で自然を楽しむことができれば、適切な量のドーパミンを出し、心地よさを感じることが出来ます。

 

自然に触れると脳の中で起こること

ここまでは3つのホルモンについてご紹介しました。詳しく知ってみると、自然に触れると脳の中で起きることについてイメージが湧きやすくなりますよね。次に、具体的なシチュエーション別にご紹介します。

日常の公園で起こること

子どもを連れて近所の公園をお散歩に出かけたとします。お天気の良い日を選べば、太陽の光はいっぱいです。公園の中はそこまで高い木が多いわけではないと思うので、存分に太陽の光を浴びることができます。日影が多ければ、あえて日向を選んで太陽の光を浴びても良いですよね。この時にセロトニンが分泌されます。近所の公園であれば場所に馴染みがあるため、「安心・安全」を感じてオキシトシンの分泌もしっかり行われます。

たかが近所のお散歩と思って侮るなかれ、このようにちょっとした散歩を取り入れるだけでも脳は自然を感じることができるのです。

やはり自然といえば山や海!自然の中で起こること

自然といったら、やはり海や山!を想像する人は多いでしょう。広大な自然を前に、人は開放的な気分になります。わいわいと動き出せば、太陽の光を浴びることでセロトニンが出ててきます。空気がおいしい、と感じるのもセロトニンによって心と体が健やかになっている証拠かもしれません。

こういった自然の中で心身ともに楽しむために注意していただきたいことがあります。「少し危険なところ」を避けることです。危険を伴う場面では心が穏やかではなくなってしまうからです。

例えば海であれば波にさらわれないところにいる、山であればハイキングコースをきちんとチェックしておく。危険を避ける準備を意識すれば、海や山でも「安心・安全」を感じて、オキシトシンが出てきます。もし、少し川を越えなければならないドキドキする場面があれば、達成したときにドーパミンが出ることもあるでしょう。

この3つのホルモンから得られることは、「癒し」です。「癒し」によって日ごろのストレスから解放されることは身体にも影響があります。例えば、金曜日の夕方から肩こりがする…なんて人も土日にはその肩こりを忘れていたりしませんか。ストレスから解放されると筋肉がリラックスモードに入り、肩こりが楽になります。血流が良くなって、溜まっていた乳酸が流れるのです。

自然に触れて起こる好反応と3つのホルモンのポイント

今回は、「オキシトシン」「セロトニン」「ドーパミン」の3つのホルモンを中心に、自然の中で起こること、好反応についてお話しさせていただきました。近所の小さな木に囲まれた公園でも、本格的な山の中でも、自然と触れることは「癒し」の効果が同様にあります。それを、体感することで、また自然の中に行きたいと思うでしょう。近所の公園だったのが、森に行ってみたくなったり、山登りもいいな、釣りしに行こうかな…と少しずつ足を伸ばして、いろいろな楽しみの幅が広がります。

ぜひ、自然の中に出かけてみてください。あなたが思っている以上に癒しがたくさん溢れていて、優しい気持ちになり、体が解れ、自然と笑顔になることができるでしょう。

 

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著者:みずき
プロフィール:2005年3月国立大学医学部卒業。現在は大阪の精神科のみの病院で勤務中。専門は児童精神。
保有資格:精神保険医、日本精神神経学会専門医・指導医
趣味:トレイルランからカメラ、宝塚鑑賞まで幅広いのが自慢

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